フォームの離脱率を調べると、「平均は○%」「業界別では○%」といった数字がたくさん見つかります。自社のフォームの数字と比べて、高いか低いかはわかります。けれども、それだけではどこを直せばよいかは決まりません。
離脱率が同じ70%でも、そもそも入力を始めてもらえていないフォームと、入力の途中で特定の項目に止まっているフォームとでは、打つ手がまったく違うからです。
そこで、フォームの数字は大きな段から順に、絞り込みながら見るのがおすすめです。この記事では、最初に見る5つの数字を、見る順番どおりに紹介します。
- 入力開始率:フォームを見た人のうち、入力を始めた人の割合
- 送信率:入力を始めた人のうち、送信まで終えた人の割合
- 項目ごとの到達率:入力を始めた人が、どの項目まで進んだか
- 項目ごとの離脱率:どの項目を最後に、入力をやめたか
- 項目ごとの入力時間:どの項目で手が止まっているか
1と2で「入力を始めてもらう」ことと「入力を終えてもらう」ことのどちらが課題かを決め、3〜5で、直すべき項目を1つに絞り込みます。あわせて、どの数字も PC とスマホを分けて見ることが大切です。理由は記事の後半で説明します。
離脱率の「平均」だけでは打ち手が決まらない理由
まず、全体の離脱率が同じ2つのフォームを比べてみます。どちらもフォームを見た人が1,000人、送信した人が150人で、全体の離脱率は85%です(数値はモデルケースです)。
| 段 | フォームA | フォームB |
|---|---|---|
| フォームを見た | 1,000人 | 1,000人 |
| 入力を始めた | 250人(25%) | 500人(50%) |
| 送信した | 150人(入力を始めた人の60%) | 150人(入力を始めた人の30%) |
| 全体の離脱率 | 85% | 85% |
フォームAは、入力を始めた人の多くが最後まで進んでいます。課題は「入力を始めてもらえない」ことで、見るべきはフォームの見た目や最初の項目です。
フォームBは、半分の人が入力を始めているのに、そのうち7割が途中でやめています。課題は「入力の途中で止まる」ことで、見るべきはどの項目で止まっているかです。
全体の離脱率と平均を比べるだけでは、この2つの違いは見えません。だからこそ、数字は段に分けて、上から順に見ていきます。
1. 入力開始率:フォームを見た人のうち、入力を始めた人
最初に見るのは、フォームが表示された人のうち、1つ目の項目に入力を始めた人の割合です。
入力開始率が低いときは、入力の中身よりも手前に原因があります。よくあるのは次のようなケースです。
- 項目が多く見える:縦に長いフォームが一度に見えて、面倒そうだと感じられている
- 何を入力すればよいか分からない:フォームの前に、申込の条件や金額が説明されていない
- 最初の項目が重い:いきなり会員登録やパスワードの設定を求めている
打ち手は、項目を減らす、最初の1項目を名前など答えやすいものにする、フォームの直前に申込の条件をまとめる、といったものです。
なお、LP の途中にフォームを置いている場合は、そもそもフォームまでスクロールしていない人も多くいます。入力開始率は「フォームが表示された人」を分母にして見ると、フォームそのものの問題と、LP の読まれ方の問題を分けて考えられます。LP にフォームを組み込む形の注意点は、LP 一体型フォームとはで整理しています。
2. 送信率:入力を始めた人のうち、送信まで終えた人
次に、入力を始めた人のうち、送信まで終えた人の割合を見ます。
入力開始率がそれなりに高いのに送信率が低いなら、入力の途中に止まりやすい項目があります。ここから先の3つの数字で、その項目を探します。
入力開始率と送信率のどちらも低い場合は、まず人数の多い方から手を付けます。上の表のように段ごとの人数を並べ、いちばん多くの人が抜けている段を先に直すのが近道です。
3〜5 は1枚の表で見る
ここから先の3つの数字は、項目ごとに並べた1枚の表で見ると読み取りやすくなります。次の表は、入力を始めた500人が、どの項目でやめたかを並べたモデルケースです。
| 項目 | 触った人数 | 到達率 | ここでやめた人数 | 離脱率 | 入力時間(中央値) |
|---|---|---|---|---|---|
| お名前 | 500人 | 100% | 20人 | 4.0% | 6秒 |
| フリガナ | 480人 | 96% | 10人 | 2.1% | 5秒 |
| 郵便番号 | 470人 | 94% | 95人 | 20.2% | 14秒 |
| 住所 | 375人 | 75% | 25人 | 6.7% | 18秒 |
| 電話番号 | 350人 | 70% | 30人 | 8.6% | 8秒 |
| メールアドレス | 320人 | 64% | 40人 | 12.5% | 12秒 |
| お支払い方法 | 280人 | 56% | 90人 | 32.1% | 9秒 |
| 利用規約への同意 | 190人 | 38% | 40人 | 21.1% | 2秒 |
| (送信) | 150人 | 30% |
この表を、到達率、離脱率、入力時間の順に読んでいきます。
3. 項目ごとの到達率:どこまで進んだか
到達率は、入力を始めた人のうち、その項目に触れた人の割合です。項目を入力の順に並べると、人数がどこで大きく減っているかが一目でわかります。
上の表では、郵便番号(94%)から住所(75%)へ移るところと、お支払い方法(56%)から利用規約への同意(38%)へ移るところで、大きな段差があります。到達率は、手を付ける場所の候補を見つけるための数字です。
4. 項目ごとの離脱率:どこで入力をやめたか
離脱率は、その項目を最後に触って、送信しなかった人の割合です。分母はその項目に触れた人数です。
離脱率を見るときは、割合と人数の両方を確認します。上の表で離脱率がいちばん高いのはお支払い方法(32.1%)ですが、やめた人数では郵便番号(95人)とほぼ同じです。フォームの前半にある項目は触る人が多いので、離脱率がそこまで高くなくても、失っている人数は大きくなります。
離脱率を読むときの注意点が2つあります。
- 「最後に触った項目」は、止まった原因そのものとは限らない:郵便番号を入力したあと、次の住所の欄を見てやめた人も、郵便番号での離脱として数えられます。離脱率の高い項目は、その次の項目とあわせて見ます
- 触った人数が少ない項目は割り引いて見る:数人しか触れていない項目は、1人やめただけで離脱率が大きく動きます
よく止まりやすいのは、郵便番号や住所、電話番号、クレジットカード番号、パスワードの設定、定期便の条件への同意といった項目です。
5. 項目ごとの入力時間:どこで手が止まっているか
入力時間は、その項目に入ってから次へ移るまでの時間です。平均ではなく中央値で見ます。入力の途中で別のタブを見に行った人が1人いるだけで、平均は大きく伸びてしまうためです。
入力時間は、項目の長さと比べて読みます。上の表では、住所の18秒は入力する文字数を考えれば自然です。一方で、7桁を入れるだけの郵便番号に14秒かかっているのは長すぎます。ハイフンを入れるかどうか、全角で入れてよいかが分からず、入力し直している可能性があります。
入力エラーが何回出たかを数えていなくても、入力時間が長い項目は、書式のエラーや迷いの手がかりになります。郵便番号であれば、ハイフンの有無や全角・半角を問わず受け付ける、入力例を欄の中に表示する、といった直し方が考えられます。
逆に、利用規約への同意は2秒と短いのに、離脱率は21.1%あります。入力に手間取っているのではなく、同意する直前に申込そのものをためらっていると読めます。定期便の条件や解約方法が、ここで初めて目に入っている可能性があります。この場合に直すべきは入力欄ではなく、条件をもっと前で伝えることです。
PC とスマホは分けて見る
ここまでの5つの数字は、どれも PC とスマホを分けて見ます。理由は2つあります。
1つ目は、数字の小さい方が、大きい方に埋もれるからです。次のモデルケースでは、スマホの入力開始率は50%、PC は25%です。ところが合わせて見ると47.5%になり、PC の低さにほとんど気づけません。
| 段 | スマホ | PC | 合計 |
|---|---|---|---|
| フォームを見た | 900人 | 100人 | 1,000人 |
| 入力を始めた | 450人(50%) | 25人(25%) | 475人(47.5%) |
| 送信した | 140人(31%) | 8人(32%) | 148人(31%) |
2つ目は、PC とスマホで、フォームそのものが違うことがあるからです。カートシステムによっては、PC とスマホで項目の並びや入力の形式が変わります。項目の構成が違うフォームを合わせて集計すると、どちらのフォームの実態でもない数字になってしまいます。
スマホでは郵便番号や住所の入力、PC では最初の項目までのスクロールなど、端末によって止まり所が変わることもあります。直すときも、どちらの端末のフォームを直すのかを決めてから手を付けます。
数字の取り方:GA4 で作るか、フォーム分析ツールを使うか
5つの数字を取る方法は、大きく分けて2つあります。
GA4 で計測する
GA4 には、フォームの操作を自動で計測する機能(拡張計測機能の「フォームの操作」)があり、入力開始と送信の数をおおまかに取れます。ただし、送信の判定はフォームの作りによって取りこぼすことがあり、項目ごとの到達率や入力時間までは取れません。
項目ごとの数字まで見たい場合は、Google タグマネージャーで項目ごとのイベントを送る仕組みを組み、探索レポートで集計する必要があります。自由に作り込める反面、設定と保守の手間がかかります。
フォーム分析ツールを使う
フォーム分析ツールを使えば、タグを設置するだけで、項目ごとの数字が表にまとまった状態で見られます。
私たち OKAERI も、無料のフォーム分析を提供しています。タグを貼るだけで、この記事で紹介した入力開始率・送信率と、項目ごとの到達率・離脱率・入力時間を、PC とスマホに分けて確認できます。計測するのは項目に触れた順番と時間だけで、入力された内容は送信しません。なお、別のドメインから iframe で読み込んでいるフォームは計測の対象外です。
直しても残る「途中で離れた人」への打ち手
5つの数字で止まり所を見つけて直せば、入力の途中でやめる人は減らせます。それでも、離脱をゼロにはできません。家事や仕事の合間にスマホで申込を始めて、いったん画面を閉じる人は必ずいます。
こうした人のうち、電話番号やメールアドレスまで入力してから離れた人には、SMS やメールで申込の続きを案内できます。フォームの改善を「防ぐ」対策とすれば、こちらは「呼び戻す」対策です。対策の全体像はフォーム離脱の対策は3段階に分けて考える、メールと SMS の使い分けはカゴ落ちメールに SMS を足すと何が変わるかで紹介しています。
OKAERI は、フォームの入力途中で離れた人に SMS とメールで連絡するためのサービスを提供しています。フォーム分析と同じタグで使え、料金は成果報酬ではなく、月額と送った分の費用で決まる仕組みです。
まとめ
- 離脱率の平均と比べるだけでは、どこを直せばよいかは決まらない。数字は大きな段から順に、絞り込みながら見る
- まず入力開始率と送信率で、「入力を始めてもらう」ことと「入力を終えてもらう」ことのどちらが課題かを決める
- 次に、項目ごとの到達率で人数が大きく減る場所を見つけ、離脱率は割合と人数の両方で確認する
- 項目ごとの入力時間は中央値で見る。項目の長さに比べて長ければ、書式のエラーや迷いを疑う。短いのに離脱が多ければ、申込そのものへのためらいを疑う
- どの数字も PC とスマホを分けて見る。小さい方の問題が埋もれるうえ、フォームそのものが違うことがある
- 直しても残る、入力の途中で離れた人には、SMS やメールで申込の続きを案内できる