「LP のフォームから離脱してしまったユーザーは、もう戻ってこない」と思っていませんか。
実は、まだ購入していない非会員のユーザーにも、離脱した後からアプローチできる方法があるのをご存知でしょうか。
フォーム離脱の対策は、大きく3つの段階に分けて考えると、自社に足りていない打ち手がはっきりします。
- 入力中に防ぐ:フォームを入力しやすく改善して、途中でやめてしまうユーザーを減らす(EFO)
- 離脱の直前に引き止める:ページを離れようとする動きを検知して、バナーなどで引き止める(Web 接客・ポップアップ)
- 離脱した後に呼び戻す:入力途中で離脱したユーザーに、SMS やメールで連絡して再訪を促す
EFO もポップアップも、効果があるのは「まだページを見ているユーザー」に対してだけです。ページを閉じられてしまえば、どちらの方法も手が届きません。
しかし、電話番号やメールアドレスを入力し終えた後に離脱したユーザーであれば、こちらから連絡する手段が残っています。単品通販の LP では、この3つ目の打ち手が手つかずのまま放置されているケースが多く見られます。
この記事では、3つの段階それぞれで何ができて、何ができないのかを整理します。自社の LP でどの打ち手が抜けているのかを確認する材料としてお使いください。
そもそもフォーム離脱とは何か
フォーム離脱とは、申込フォームの入力を始めたユーザーが、送信を完了せずにページを離れてしまうことを指します。
商品ページを見ただけで帰ってしまったユーザーは含みません。入力を始めたユーザーだけを対象とするのが特徴です。一度は申し込もうとしたユーザー、つまり購入意欲が一定以上あったユーザーを取りこぼしている状態を指すため、改善したときの効果が大きい領域だといえます。
「カゴ落ち」と「フォーム離脱」はどう違うのか
この2つはほぼ同じ現象を指していますが、使われる場面が異なります。
| 呼び方 | 主に指している状態 | よく使われる業態 |
|---|---|---|
| カゴ落ち | カートに商品を入れた後、購入を完了しないまま離れる | モール型・カート型の EC |
| フォーム離脱 | 申込フォームの入力を途中でやめて離れる | 単品通販の LP、資料請求・予約フォーム |
とはいえ、この2つの言葉が明確に使い分けられているわけではありません。カートページを持たず、LP の下部に申込フォームが設置されている単品通販の場合、どちらの言葉も使われています。呼び方にこだわるよりも、ユーザーがどの地点で離れているのかを把握することが重要です。
離脱が起きるのは3つの地点
- 入力前:フォームまでスクロールしたものの、1文字も入力せずに離れる
- 入力途中:氏名や連絡先までは入力したが、住所や決済情報の途中でやめる
- 確認画面:送信ボタンを押す直前で止まる
このうち2と3まで進んだユーザーは、すでに連絡先を入力し終えている可能性があります。この点が、3つ目の打ち手である「呼び戻す」を実行できるかどうかを分けます。
対策は「防ぐ」「引き止める」「呼び戻す」の3段階
3つの対策は、それぞれアプローチできるユーザーが異なります。どれか1つを選ぶものではなく、カバーしている範囲が違うと考えてください。
| 段階 | 手段 | アプローチできるユーザー | アプローチできないユーザー |
|---|---|---|---|
| ① 防ぐ | EFO(入力フォーム最適化) | 入力を続けているユーザー | 入力をやめてしまったユーザー |
| ② 引き止める | Web 接客・ポップアップ | 離脱しそうな動きを見せた、まだページ内にいるユーザー | すでにページを閉じたユーザー |
| ③ 呼び戻す | SMS・メール | 連絡先を入力し終えた後に離脱したユーザー | 連絡先を入力せずに離れたユーザー |
①と②は、ユーザーがページを見ている間しか効果を発揮しません。ページを閉じられた時点で打ち手がなくなります。ページを閉じた後にもアプローチできるのは③だけです。
反対に③は、連絡先を入力していないユーザーに対しては何もできません。3つの対策は互いの代わりにはならず、それぞれが別の範囲を埋めているとご理解ください。
①入力中に防ぐ:EFO(入力フォーム最適化)
EFO は、フォームそのものを改善することで、入力途中の離脱を減らす方法です。
下記は EFO でよく行われる対策の一例です。
- 郵便番号を入力すると住所が自動で補完される
- 全角・半角やハイフンの有無を自動で変換する
- 入力の誤りを、送信後ではなく入力中にその場で知らせる
- 入力項目そのものを減らす、任意項目を折りたたんで見せる
- 項目ごとの離脱率を計測して、ユーザーがつまずいている箇所を特定する
最初に着手すべきはこの段階です。 入力の手間が減れば離脱するユーザー自体が減り、後の段階で対応すべき人数も少なくなります。
ただし、EFO で改善できるのは入力を続けているユーザーだけです。「後でゆっくり申し込もう」と考えて閉じたユーザーや、価格を比べるために他のサイトへ移ったユーザーは、フォームの使いにくさとは別の理由で離れています。フォームをどれだけ改善しても、こうしたユーザーを呼び戻すことはできません。
②離脱の直前に引き止める:Web 接客・ポップアップ
ユーザーが離脱しようとする動き(ブラウザバック、タブを閉じる、マウスカーソルがページ上部へ移動するなど)を検知して、バナーなどを表示し、ページ内にユーザーを引き止める方法です。
表示する内容としては、次のようなものがよく使われます。
- 「まだ申し込みが完了していません」といった注意喚起
- 送料無料やクーポンなど、その場で使える特典の提示
- チャット窓口を開いて、疑問をその場で解消する
購入を迷っているだけのユーザーであれば、最後のひと押しで申し込みにつながることがあります。
ただし、この方法には弱点が2つあります。
- ページを閉じた後には表示できません。 タブを閉じたユーザーや、別のアプリに切り替えたまま戻らないユーザーには届きません
- 連絡先を取得できません。 バナーを閉じられてしまえば、そのユーザーとの接点はそこで切れてしまいます
特にスマートフォンでは、他のアプリに切り替えてそのまま戻らないという離れ方が多く、ポップアップを表示する機会すら得られないケースもあります。
③離脱した後に呼び戻す:SMS・メール
入力途中で離脱したユーザーに対して、後から SMS やメールで連絡し、再訪を促す方法です。
呼び戻せるのは「連絡先を入力し終えたユーザー」だけ
この方法には前提があります。そのユーザーが電話番号かメールアドレスを入力し終えていることです。連絡先を入力せずに離れてしまったユーザーには、こちらから連絡する手段がありません。
そのため、フォームの項目の並び順が結果を左右します。連絡先を後半に配置しているフォームは、後から連絡できるユーザーの数がその分だけ少なくなります。氏名と連絡先をフォームの前半に置くだけで、呼び戻せる範囲は広がります。
カゴ落ちメールとは対象が異なる
同じように見えて、次の点が異なります。
| カゴ落ちメール | フォーム離脱のリカバリー | |
|---|---|---|
| 対象となるユーザー | 主に会員。カートや購入確認画面まで進んだユーザー | 非会員を含む、入力の途中で離れたユーザー |
| 連絡先の取得元 | 会員データベース、購入確認画面までに入力された情報 | 入力途中のフォーム |
| 配信のきっかけ | カートに商品を入れた、または購入確認画面まで進んだまま購入しなかった | フォームの入力を始めたまま送信しなかった |
カート型の EC は会員のリピート購入が中心のため、会員データベースを使ったカゴ落ちメールで多くをカバーできます。一方、単品通販の LP に訪れるのは初めてのユーザーがほとんどで、会員データベースには情報が残っていません。単品通販でこの打ち手が空白になりやすいのは、この違いが理由です。
SMS とメールは役割が異なる
- SMS:開封される割合が高く、短い文面に向いています。電話番号を入力したユーザーに送信でき、1通ごとに費用がかかります
- メール:費用を抑えやすく、長い説明や画像を載せられます。他のメールに埋もれて開かれないこともあります
どちらか一方を選ぶのではなく、電話番号を入力したユーザーには SMS、メールアドレスだけを入力したユーザーにはメールという使い分けが現実的です。両方を取得できている場合は、まず SMS を送り、反応がなければメールを送るという順序にします。
配信を始める前に決めておくこと
- 送信するタイミング:早すぎると、まだ入力しているユーザーに送ってしまいます。「入力が止まってから何分経過したら離脱とみなすか」を決めます
- 送信する回数:何通まで送るかを決めます。通数を増やすほど申し込むユーザーは増えますが、しつこいと感じられる境界があります
- 送信を停止する条件:申し込みが完了したユーザーや、配信を断ったユーザーには送らないようにします。ここを設計し損ねると、申し込んだ直後に「お忘れではありませんか」という連絡が届いてしまいます
- 同意の取り方と表記:連絡する可能性があることを、フォームやプライバシーポリシーでどのように伝えるかを決めます
4つ目については、特定電子メール法をはじめとする法律が関わります。送る内容が広告にあたるのか、申込手続きに関する案内にあたるのかによって扱いが変わるため、文面とあわせてご確認ください(総務省が解説資料を公開しています)。
単品通販の LP で抜けやすいのは③の「呼び戻す」
多くの LP では、①と②はすでに実施されています。フォームは入力しやすく整えられ、離脱を防ぐバナーも設置されています。
一方で③が抜けてしまうのは、次のような理由からです。
- カゴ落ちメールの多くは、会員か購入確認画面まで進んだユーザーが対象で、入力の途中で離れた非会員には届かない
- 入力途中のデータは、送信されない限りどこにも保存されないため、そもそも誰が離脱したのかを把握できない
- ツールを導入しても、送信するタイミングや停止の条件を決める作業が後回しになり、設定が途中で止まってしまう
なお、ecforce には有料オプションとして「カゴ落ちメール機能」があります。連絡の中心はメールですが、SMS 認証機能をオンにしている場合は SMS も送られるため、フォームの入力途中で離れた人にも届くことがあります(公式サポートの案内による)。料金はメール・SMS それぞれ月額1万円で、SMS は1セグメントあたり10円、メールは他のメールと合わせて5万通を超えると追加の課金があります。ecforce をお使いなら、まずはこの機能でどこまで賄えるかと、入力途中の離脱がどれくらいあるかを確かめてから、別の手段を検討しても遅くはありません。ecforce のカゴ落ちメール機能で具体的に何ができて何ができないかは、ecforce のカゴ落ちメール機能でできること・できないことで整理しています。
単品通販でよく使われる LP 一体型フォームの仕組みと、一体型にしても入力の途中で離れる人が残る理由は、LP 一体型フォームとはで解説しています。
どこから着手すればよいか
上から順にご確認ください。
- フォームの入力項目は必要最小限になっていますか。 任意項目を削るだけで改善するケースがあります
- 氏名と連絡先はフォームの前半に配置されていますか。 後半にあると、後から呼び戻せるユーザーが少なくなります
- 入力の途中で何人が離脱しているかを計測できていますか。 項目ごとの離脱が見えていないと、どこを改善すべきかを決められません
- 離脱した後、何のアプローチもしていない状態になっていませんか。 ここが空白であれば、③に伸びしろがあります
1と2は、ツールを導入しなくても今日から着手できます。まずフォームの構成を見直したうえで、3と4に進むのが効率的です。
まとめ
- フォーム離脱の対策は「防ぐ」「引き止める」「呼び戻す」の3段階に分けて考えると、抜けている打ち手がはっきりします
- EFO とポップアップが効果を発揮するのは、ページを見ているユーザーに対してだけです
- 離脱した後にアプローチできるのは、連絡先を入力し終えたユーザーに限られます
- 単品通販の LP は初めてのユーザーが中心のため、会員向けのカゴ落ちメールでは拾えない範囲が残ります
- 氏名と連絡先をフォームの前半に配置すると、後から呼び戻せるユーザーが増えます