ecforce でカートや LP を運用しているなら、カゴ落ち・フォーム離脱の対策で最初に候補になるのは、ecforce の「カゴ落ちメール機能」です。追加のタグも別サービスとの連携も要らず、管理画面の設定だけで配信を始められます。
一方で、「どこまで任せられるのか」「専用ツールと何が違うのか」は、公式サポートの記事を読み込まないと分かりにくいところです。
この記事では、ecforce の公式サポート記事「[オプション] カゴ落ちメール機能」の記載をもとに、この機能でできることとできないことを整理します。そのうえで、専用ツールとの違いを次の3点で比べます。
- 料金:月額と、送る量が増えたときの費用
- 数値の計測:送った結果をどこまで数字で追えるか
- シナリオ:文面・送るタイミング・回数をどこまで分けられるか
先に結論を書くと、ecforce の機能で足りる店舗は少なくありません。専用ツールが向くのは、送る量によって費用を抑えられる場合と、文面やタイミングを分けて数字で比べながら改善したい場合です。
フォーム離脱の対策全体(入力中に防ぐ・離脱の直前に引き止める・離脱した後に呼び戻す)は、フォーム離脱の対策は3段階に分けて考えるで整理しています。
ecforce のカゴ落ちメールは、メールと SMS で呼び戻す有料オプション
ecforce のカゴ落ちメール機能は、購入まで進まずに離脱したユーザーに、リマインドを自動で送る機能です。ecforce の標準の機能ではなく、申し込みが必要な有料オプションです。
設定は2つに分かれています。
| 設定 | 送る相手 | 送る手段 |
|---|---|---|
| 確認画面離脱設定 | 確認画面まで進んだ(会員が SHOP で使う場合はカートに商品を入れた)まま購入しなかったユーザー | メール |
| 入力画面離脱設定 | LP の購入フォームで、電話番号を入力した後に離脱したユーザー | SMS(条件付きでメール) |
連絡の中心はメールですが、入力画面離脱設定を使うと、フォームの入力途中で離れたユーザーにも SMS が届きます。
確認画面まで進んだユーザーにはメールを送る
確認画面離脱設定では、次の項目を設定します。
- 自動配信の有効・無効
- メールテンプレート:カゴ落ちメールのカテゴリのテンプレートから1つ選ぶ
- 配信対象:カゴ落ちしたユーザー全員か、メールマガジンの受け取りを選んだユーザーだけか
- 配信タイミング:離脱から1時間〜24時間の間で、1時間単位
メールのリンクを押すと、カゴ落ちした商品がカートに入った状態でカート画面が開きます。LP で離脱したユーザーの場合は、LP の購入フォームが開きます。
入力途中で離脱したユーザーには SMS が届く
入力画面離脱設定は、LP の購入フォームで電話番号を入力した後に離脱したユーザーへ、SMS を自動で送る設定です。公式サポートには、送る条件として次の項目が挙げられています(最後の2つは、電話番号とメールアドレスのどちらを入力したかの違いです)。
- 入力画面離脱設定を有効にした広告 URL からアクセスしている
- ecforce にログインしていない
- 電話番号を入力して離脱した
- メールアドレスを入力して離脱した(そのメールアドレスの顧客がすでに存在する場合に限る)
使うには、SMS会員認証機能(こちらもオプション)を利用し、Twilio を使う設定をオンにする必要があります。対象は LP のフォームでの入力だけで、SHOP のカートは含みません。
注意したいのは、メールアドレスだけを入力して離脱した新規のユーザーです。公式サポートには「メールアドレスを記載してもメールは送られません(一部を除く)」とあり、メールが届くのは既存顧客のアドレスに限られます。新規のユーザーに連絡できるのは、電話番号を入力していた場合の SMS です。
料金はメール・SMS それぞれ月額1万円
料金は公式サポートの記事には載っておらず、ecforce の管理画面の「アプリ管理 > オプション申込」で確認する案内になっています。2026年9月時点の料金は次のとおりです。
- 月額:メール・SMS それぞれ月額1万円
- SMS の送信料:1セグメント10円
- メールの送信料:他のメール(注文確認など)と合わせて月5万通を超えると課金
料金は変わることがあるため、申し込む前に管理画面の申込画面で確認してください。
できること・できないことを一覧にする
公式サポートの記載で確認できることと、記載が見当たらないことを分けて並べます。「記載が見当たらない」は、できないと断定するものではありません。使う前に ecforce に確認したい点として読んでください。
| 項目 | 公式サポートで確認できること | 記載が見当たらないこと |
|---|---|---|
| 送る相手 | 確認画面まで進んだユーザー(メール)、LP のフォームで電話番号を入力して離脱したユーザー(SMS) | メールアドレスだけを入力した新規ユーザーへのメール(「送られません(一部を除く)」とある) |
| 送るタイミング | 離脱から1時間〜24時間の間で、1時間単位で1つ | — |
| 文面 | 設定ごとにテンプレートを1つ選ぶ | 商品や LP ごとに文面を分ける設定 |
| 回数 | 自動配信の設定は1通ぶん。手動の一括通知でカゴ落ちメールのテンプレートを送ることはできる | 2通目以降を自動で送る設定 |
| 計測 | 期間を指定した集計画面。メールや SMS のリンクから購入した受注を「リカバリー」として検索できる | 集計画面に出る数字の中身。文面やタイミングごとの比較 |
ここからは、この一覧のうち差が出やすい「料金」「数値の計測」「シナリオ」の3点を、専用ツールと比べていきます。比べる相手には、このサイトを運営する私たちのフォーム離脱・カゴ落ち対策ツール OKAERI を使います(ecforce のフォームにも対応しています)。
違い①料金:少量と大量は OKAERI、その間は ecforce が安い
ecforce のオプションは、月額が決まっていて、SMS は送った分だけ1セグメント10円がかかります。OKAERI は月額に一定の通数が含まれていて、超えた分に1通分ずつ単価がかかる料金体系です。
どちらが安いかは、月に送る量で変わります。SMS の量ごとに月額を並べました。
| 月の SMS | ecforce | OKAERI |
|---|---|---|
| 300通分 | 23,000円 | 9,800円(Starter) |
| 1,500通分 | 35,000円 | 26,600円(Starter) |
| 3,000通分 | 50,000円 | 47,600円(Starter) |
| 6,000通分 | 80,000円 | 85,800円(Growth) |
| 12,000通分 | 140,000円 | 135,800円(Pro) |
試算の前提は次のとおりです。いずれも実績ではなくモデルケースの数字です。
- ecforce はメール・SMS の両方のオプションを使い、メールは他のメールと合わせて月5万通以内に収まると仮定しています
- メールは月500通として計算しています
- OKAERI は、その量で月額がいちばん安くなるプランを選んでいます(税別)
表の上の行のように SMS が少ない規模では、OKAERI の Starter プラン(月額9,800円に SMS 300通分を含む)のほうが安くなります。ecforce はメールと SMS のオプションで、送る前に月20,000円がかかるためです。
一方、SMS の量が増えると差は縮まり、月6,000通分の規模では ecforce のほうが安くなります。1セグメント10円という ecforce の SMS 単価は、OKAERI の Starter(1通分14円)や Growth(1通分12円)の超過単価より安いためです。
さらに量が増えて月12,000通分の規模になると、今度は OKAERI の Pro プランのほうが安くなります。Pro は月額99,800円に SMS 7,500通分を含み、超えた分の単価も1通分8円と、ecforce の10円より安いためです。
100通分刻みで試算すると、ecforce のほうが安いのは SMS が月およそ3,700〜9,800通分の範囲です。料金だけで見れば、ecforce のオプションが有利なのは中くらいの量を送る店舗です。
料金だけで決めるなら、月にどれくらい送るかを先に見積もってください。ecforce をすでに使っている場合は、顧客管理の「カゴ落ち状態」の検索で、カゴ落ちしたユーザーの人数の目安をつけられます。
違い②数値の計測:ecforce で追えるのは、リンクから購入した受注まで
ecforce でも、送った結果はある程度追えます。公式サポートで確認できるのは次の2つです。
- 集計画面:確認画面離脱と入力画面離脱のそれぞれに、期間を指定して表示する集計がある
- リカバリーの検索:カゴ落ちメールのリンクから購入した受注は「カゴ落ちリカバリー」、SMS のリンクから購入した受注は「カゴ落ちリマーケティングリカバリー」として、受注管理で検索できる
「送ったメールや SMS から何件売れたか」は、この2つで確かめられます。
ただし、リカバリーとして数えられるのは、メールや SMS のリンクを経由して購入した受注です。連絡を受け取った後に、検索や広告から LP を開き直して購入した人は、この条件には入りません。また、集計画面にどの数字が並ぶのかは、公式サポートには書かれていません。
改善のために数字を使いたい場合は、管理画面の集計で次の数字が見られるかを確かめてください。
- 送った人数と、そのうち購入した人数(割合)
- フォームを開いた人数、入力を始めた人数、連絡先まで入力して離脱した人数
- 文面や送るタイミングごとの購入件数
1が見られれば、機能を続けるかどうかは判断できます。2と3は、どこを直せば件数が増えるかを決めるための数字です。
OKAERI では、フォームの表示から入力開始、連絡先の取得、購入までの各段の件数と、配信した相手のうち何人が購入したかを、管理画面で日ごとに見られる設計にしています。Growth プラン以上では、文面を比べる A/B テストも使えます。数字を見ながら文面やタイミングを変えていきたい場合に、差が出るのはこの部分です。
違い③シナリオ:ecforce の自動配信は、文面とタイミングが1つずつ
ecforce の自動配信は、確認画面離脱と入力画面離脱のそれぞれで、テンプレートを1つ、配信タイミングを1つ選ぶ作りです。公式サポートの設定項目には、次のような設定は見当たりません。
- 1通目に反応がなかった人へ、2通目・3通目を自動で送る
- 商品や LP ごとに、文面や待ち時間を分ける
- SMS とメールの両方が取れている人に、順番を決めて送り分ける
なお、手動であれば、顧客管理の一括通知からカゴ落ちメールのテンプレートを送れます。カゴ落ち状態の顧客は顧客管理で検索できるので、2通目を手作業で送る運用は組めます。ただ、毎日検索して送る手間がかかります。
商品が1つか2つで、LP も少ない店舗なら、文面が1つでも困る場面は多くありません。一方、商品ごとに訴求が違う LP を複数回している場合や、初回は短い SMS で、反応がなければ詳しいメールを送る、といった段取りを組みたい場合は、この1つずつの作りが制約になります。
OKAERI では、LP や商品ごとにキャンペーンを分けて、それぞれに文面と待ち時間を設定できます。1人に送れる回数は Starter プランで3通まで、Growth プラン以上では回数の上限がなく、条件による分岐も組めます。
ecforce のカゴ落ちメールで足りるケース
次のような店舗は、まず ecforce のオプションで始めるのが合理的です。
- 送る量が中くらい:モデルケースでは、SMS が月およそ3,700〜9,800通分の規模なら、料金は ecforce のほうが安くなる
- 商品と LP が少ない:文面が1つでも、訴求がぶれない
- 「リンクから何件売れたか」が分かれば十分:続けるかどうかの判断に、それ以上の数字を使わない
- ツールを増やしたくない:タグの追加も別サービスの管理画面も要らず、ecforce の中で完結する
特に最後の点は小さくありません。カゴ落ちした顧客は顧客管理で、リンクから購入した受注は受注管理で、ふだん使っている画面のまま確認できます。
専用ツールが向くケース
反対に、次のような場合は、OKAERI のような専用ツールが向いています。
- 送る量が少ないうちから始めたい:ecforce はメールと SMS のオプションで月額が先にかかる。送る量が少ない段階では、月額に通数が含まれるプランのほうが安くなる
- 非常に多く送る:モデルケースでは、SMS が月およそ9,800通分を超える規模になると、Pro プランのほうが安くなる
- 文面やタイミングを分けたい:商品や LP ごとに訴求を変えたい、1通目と2通目で手段や文面を変えたい
- 数字を見ながら改善したい:フォームのどこで離脱しているか、どの文面がよく売れたかを比べて、次の手を決めたい
- ecforce 以外のフォームもある:ecforce の入力画面離脱の対象は LP のフォームだけ。独自に作った LP や WordPress のフォームも、同じ仕組みで呼び戻したい
ecforce のオプションと専用ツールは、どちらか一方しか選べないものではありません。まず ecforce の機能で始めて、送る量や LP が増えてきた段階で専用ツールと比べる、という順番でも遅くはありません。
使い始める前に確認しておくこと
どちらを使う場合でも、配信を始める前に次の点を確かめてください。
- フォームの前半で連絡先を聞いているか:SMS が届くのは電話番号を入力した後に離脱した人だけです。電話番号の欄が後半にあると、送れる人数が減ります
- 同意の取り方と表記:ecforce の公式サポートも、入力画面離脱の SMS は利用規約への同意前に離脱した顧客にも送られるため、使うかどうかは各社で判断が必要だと案内しています。特定商取引法や特定電子メール法に関わる部分なので、文面とあわせて専門家に確認してください
- 送る量の見積もり:料金の比較は、月に何通送るかで結論が変わります
自社の数字で試算する
今、成果報酬型のツールを使っている場合や、これから導入を検討している場合は、OKAERI の料金シミュレーションで月額を試算できます。月の CV 件数や送信通数を入れると、成果報酬型の費用と OKAERI の月額を並べて比べられます。
まとめ
- ecforce のカゴ落ちメール機能は有料オプションです。メールが中心ですが、SMS会員認証機能を使うと、LP のフォームで電話番号を入力した後に離脱した人にも SMS が届きます
- 料金はメール・SMS それぞれ月額1万円です。モデルケースでは、SMS が月およそ3,700通分に届かない規模は OKAERI、3,700〜9,800通分は ecforce、それを超えると OKAERI の Pro プランのほうが安くなります
- 数値は、メールや SMS のリンクから購入した受注までは ecforce で追えます。集計画面に出る数字の中身は、管理画面で確かめてください
- 自動配信の文面とタイミングは、設定ごとに1つずつです。商品や LP ごとに分けたい、回数を重ねたい場合は、専用ツールが向いています
- 送る量が多く、商品と LP が少ない店舗は、まず ecforce のオプションで始めるのが合理的です